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川崎に「小向マーケット」という所があると知った。昭和の香りが色濃く残り (ネットでは横綱級との声)、今も営業を続けている商店街らしい。自分はその種の場所には目がないのだ。そして、そこが幼少の頃に利用していた「小向交番バス停」のそばだとわかり、なおさら「これは絶対に行きたい」と思うようになった。
小学一年から中学三年まで川崎市に住んでいた。それ以前は東京都大田区に住んでおり、家の近所の幼稚園へ通っていた。卒業する一年前に、突然川崎市へ引越しすることになったが、諸事情もあり、引越し後も、(小学校入学までの一年間)川崎市の自宅から引き続きその幼稚園へ通うことになったのである。そんなわけで、毎朝片道一時間半をかけて、二本のバスを乗り継ぎ、川崎市から東京都大田区まで通うことになった。 実はその「乗り継ぎバス停」こそ「小向交番」だったのだ。
小学校にあがる前のことにもかかわらず、その停留所で乗り継ぎのバス(確か五反田行き)を待つ間の光景は、今でも鮮明に覚えている。目の前には東芝の大きな工場、幹線道路(国道一号線=第二京浜)が広がり、川崎駅にも近いそのバス停周辺は独特な雰囲気だった。
閑話休題。この日は車を「小向交番バス停」付近のパ-キングに停め、徒歩で小向マーケットをめざした。小向「交番」は新しいものになっていたが、東芝の建物は、名称が「東芝R&Dセンター」に変わっただけで、姿は当時のまま。これは懐かしかった。
目指すは小向マーケット。周囲には行先案内がまったく見当たらず少し迷ったが、この辺かな?と表通りを少しそれたところに、それは突然現れた。
ここか!ここなのか!看板すらないぞ!?。。噂通り「昭和の香り」はあまりに香ばしく、それは「超ド級 」だった!マーケットと名乗ってはいるが、思っていたより建物は小さい印象。アーケードの通路の長さはたった15mほど。そして到着したのが夕方にもかかわらず、買い物客は一人もいなかった。
マーケット周辺の建物もいい味を出している。でも、ほんの数十メーター先には近代的な街並みがあるというのに、このあたりだけ昭和の香りが色濃く残っているのはなぜなんだろう?触れてはいけない事情があるのかもしれない。
実際に商売をしている人がどう思っているのかはわからない。自分は客として行っただけだが、小一時間の滞在中には少年時代の思い出が次々と甦り、ただただ懐かしい気持ちでいっぱいになった。こんなところが残っているなんて涙ちょちょ切れるじゃないか!できればずっとこのままの姿で、時代の流れに飲みこまれることなく生き残ってほしいと切に願う。
P.S.このようなチャンスはカメラが趣味だからこそ。あらためて「よかったな~」と思うのであった。
コメント
コメント一覧
以前は、シャッター通りの代名詞でしたが、
最近は、別の動きも出てきているようです。
アーケードが老朽化して、維持に多大な費用が掛かることから、
アーケードの撤去が進んでいるようです。
ちょっと寂しいような気もしますが、
陽を直接取り込めるので、明るい商店街として復活しているところもあるようですよ !
ここは予想していたよりも凄まじい「昭和」でした!
こういうところは、だんだん姿を消していくのでしょうね。その前に他のそうしたところも
写真として残したいと思うようになりました。
梅雨ですね~。こういう暗めの写真も好きなんですが、フォトンさんの作品のように
光が感じられ、露出補正もプラスにして、シャープでくすみのない写真にもチャレンジしたいです。
被写体への暖かい眼差しを感じるいい写真ですね。
「こういうところは、だんだん姿を消していくのでしょうね。その前に他のそうしたところも写真として残したいと思うようになりました。」この言葉に大いに共感します。まさに写真にこそできる意義ある仕事だと思います。
ここは本当にすごいところでした。
最新の街並みも好きですが、いつかは消滅するであろう、このような風景にも感動を覚えます。
なぜか、消えゆくものや朽ちていくものに魅かれてしまうんです。被写体としても残しておきたいですよね。
東京オリンピックで色々騒いでるけど、1964東京オリンピックを思わせる万国旗。
その時点で時間が止まってしまったような世界。
シュールで、空虚、廃墟といってはいけないけどなんとも言えない世界をとらえてますね。
こんなところが近くにあるなんてびっくりしました。
川崎には、「川崎フロンターレ」や、近年住みたい街にランクされるようになった武蔵小杉など、「光」の部分があります。
一方、昔ながらのディープでダークな面もいまだに持っています。幼少の頃はそういう部分が好きではなかったのですが、愛しく感じてしまうのは歳のせいでしょうか (^^;
東京DEEPとかで紹介されてもおかしくないくらいのディープさ。
ただここでカメラを出すのは勇気がいりそうです(; ・`д・´)
ヤバいくらいにディープでした!
>カメラを出すのは勇気がいりそうです
同じことを思っていたんですが、幸いにもほとんど人気がなく、人目を気にすることなくカメラを構えることができラッキーでした。